こんにちは、あんにゅいです。
社会保険の種類には、「厚生年金保険」や「国民年金」などがあります。
この「厚生年金保険」と「国民年金」は、同じような年金保険の仕組みを取っていて、制度としてもお互いに深く関わり合いのあるものです。
しかし、この2つの名称をよく見てみると、違いがあることに気が付きます。
「厚生年金保険」には「保険」の言葉が入っているのに、「国民年金」には「保険」の言葉が入っていないのです。
「国民年金保険」とは言わないんですね。
なぜ、このようなことになっているのでしょうか。
その理由を見ていきます。
国民年金は、厳格な保険原理に則った運営ではないから
結論から言いますと、国民年金に「保険」の言葉が入っていないのは、国民年金は厳格な保険原理に則った運営ではないから、ということになります。
通常、保険というものは、あらかじめ保険料を集めておいて、保険事故が発生した場合に、保険給付を行うものです。
厚生年金であっても国民年金であっても、原則としてそれは同じです。
ただし国民年金には、保険料を払っていないのに保険給付を受けられる人が存在します。
保険料を払わなくても保険給付を受けられるのは、保険原理に適っているとは言えないので、国民年金には「保険」の言葉が入らないのです。
保険原理とは
保険とは、何らかの事故が起きて経済的な損失が発生した場合に、その経済的な損失を填補するためにかけられるものです。
生命保険であれば、死亡という保険事故に対して保険金が支払われますし、火災保険であれば、火災などの保険事故に対して保険金が支払われます。
同じように、厚生年金や国民年金では、老齢・障害・死亡という保険事故に対して、給付が行われます。
その給付を行うためには、原資となるお金が必要です。
だから給付の原資とするために、保険に加入している人から、保険料を徴収しているのです。
この仕組み、考え方が、保険原理です。
保険料を納めなくても給付を受けられる人
では国民年金における、「保険料を納めなくても給付を受けられる人」とは、具体的にはどのような人でしょうか。
例えば、20歳前傷病による障害基礎年金の受給権者が、これに当たります。
国民年金では、厚生年金に加入している人を除くと、年金保険料の支払い義務は20歳になったときに発生します。
しかし、まだ年金保険料を1円も支払っていない20歳前の人でも、障害基礎年金という保険給付を受給できる場合があるのです。
それ以外にも、「障害基礎年金受給」や「生活保護受給」などによる、保険料免除を受けている人も該当します。
保険料免除を受けている人は、保険料を払ったものと扱われて、さすがに満額ではありませんが、将来に老齢基礎年金を受給できます。
20歳前傷病による障害基礎年金を貰っている人も、保険料免除を受けている人も、保険料を払っていないのに保険給付を受けられるということで、保険原理に適っているとは言えません。
ですから、国民年金には「保険」の言葉が入らないのです。
いかがでしたか?
今回はちょっと雑学的なお話でした。
「厚生年金保険」と「国民年金」。
両者にはこんな違いがあったのですね。