【純粋期待仮説】スポットレートを基にしたフォワードレートの計算方法

スポットレートとフォワードレート 計算例

こんにちは、あんにゅいです。

 

利率の考え方として、スポットレートフォワードレートという概念があります。

スポットレートは、インターバンク市場で取引されている直物レートを指します。

フォワードレートは、そのスポットレートから導き出される、計算上のレートです。

 

この記事ではスポットレートを基に、どのようにフォワードレートを導き出すのか、例を見ながらその考え方と計算方法をご説明します。

 

スポットレートとフォワードレート

 

【スポットレートとフォワードレート】

・スポットレート
現時点で確定している利回りのこと。

 

・フォワードレート
将来のある時点からスタートする利回りのこと。
現時点のスポットレートから求められる計算上の利回り。

 

 

あんにゅい
同じ利回りでも、スポットレートとフォワードレートという、2種類の考え方があるんですね

 

 

スポットレートからフォワードレートを求める方法

スポットレートの考え方

1年物スポットレート

スポットレートの考え方・1年物スポットレート

 

まずは1年物スポットレートの例を見てみます。

上の例では、1年物スポットレートを1%としています。

 

「1年物」というのは、1年間で満期を迎える金融商品だと捉えると理解が早いでしょう。

スポットレートは現時点で確定している利回りのことでしたね。

つまり「1年物スポットレートが1%」といった場合、ある金融商品で1年間運用した場合に適用される利回りが1%であることを意味します。

 

この金融商品で10,000円を1年間運用すると、1年後にはいくらになっているでしょうか。

10,000円を1%の利回りで1年間運用するのですから、

 

10,000円 × 1.01 = 10,100円

 

なので、10,000円は1年後には10,100円になります。

 

 

2年物スポットレート

スポットレートの考え方・2年物スポットレート

 

では2年物スポットレートが2%の場合を考えてみます。

 

「2年物」は、2年間で満期を迎える金融商品をイメージします。

「2年物スポットレートが2%」といった場合は、ある金融商品で2年間運用した場合に適用される利回りが2%であることを意味します。

 

この金融商品で10,000円を2年間運用すると、2年後にはいくらになっているでしょうか。

10,000円を2%の利回りで2年間運用するのですから、

 

10,000円 × 1.02 × 1.02 = 10,404円

 

なので、10,000円は2年後には10,404円になります。

 

 

あんにゅい
利回りは「年間で」収益がどのくらい得られるのかを指す言葉です。「2年物スポットレートが2%」といった場合、1年間の利率が2%で2年間運用するという意味であって、2年間トータルでの利率が2%という意味ではありませんので、ご注意ください。

 

 

フォワードレートの考え方

スポットレートとフォワードレート

 

続いてフォワードレートの例を見てみます。

 

フォワードレートは将来のある時点からスタートする利回りのことでしたね。

そしてフォワードレートは、最初から決められていたり与えられていたり適用されていたりするものではなく、計算上の利回りです。

現時点で判明しているスポットレートを頼りに導き出すものなんですね。

 

では、現時点で1年物のスポットレートが1%で、2年物のスポットレートが2%の時の、1年後にスタートする1年物のフォワードレートを考えてみましょう。

上の図をご覧になって、イメージをしてくださいね。

 

上の図で、求めたいのは1年後スタートの1年物フォワードレートです(図では答えが出ていますが)。

まず、1年物スポットレートが1%、という情報だけでは、2年後の運用結果がどうなるのかは分かりません

2年後の運用結果を知るには、2年物スポットレートが必要です。

ここでは2年物スポットレートは2%と与えられていますから、このスポットレートから2年後の運用結果を求めます。

 

1.02 × 1.02 = 1.0404

(1.0404 – 1) × 100 = 4.04%

 

上記から、2年物スポットレートが2%の時の、2年後の運用結果は+4.04%であると分かりました。

 

金融の世界には、「長期金利の水準は、長期金利で運用した場合と、短期の運用を繰り返して長期の運用になる場合の結果は、同じになるように決まる」という理論があります。

 

ここでの例に当てはめると、

 

  • 2年物スポットレートで2年間運用した結果

  • 1年物スポットレートで1年間運用し、その後1年物フォワードレートで1年間運用した結果

 

同じになるということです。

 

すなわち、

 

  • 2年物スポットレートで2年間運用した結果

が+4.04%なので、

  • 1年物スポットレートで1年間運用し、その後1年物フォワードレートで1年間運用した結果

も+4.04%になるということです。

 

ということは、

1年物スポットレートである1%で1年間運用した後、1年物フォワードレートである?%で1年間運用すると、+4.04%という結果になる、ということです。

 

これを式に表すと、

 

1.01 × x = 1.0404

 

となり、

xについて解くと、

 

x = 1.03(小数点第3位以下四捨五入) 

 

となります。

利率を計算すると、

 

(1.03 – 1)  × 100 = 3%

 

となり、1年後スタートの1年物フォワードレートは3%であるということが分かります。

 

あんにゅい
「長期金利の水準は、長期金利で運用した場合と、短期の運用を繰り返して長期の運用になる場合の結果は、同じになるように決まる」という理論を、「純粋期待仮説」といいますよ

 

 

フォワードレートの公式

フォワードレートを求める公式は、下記の通りです。

 

フォワードレートの公式

 

 

あんにゅい
公式だけを見てもピンとこないと思いますから、下の例で実際に計算してみましょう

 

 

フォワードレートの計算例

フォワードレートの計算例

 

 

以上、スポットレートとフォワードレートについて、ご説明いたしました。

 

 

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