こんにちは、あんにゅいです。
ニュースや金融に関する記事などで、「円高」「円安」という言葉を見聞きしますよね。
「円高」「円安」は、円と外国通貨との間での為替に関する用語です。
慣れていないと間違えやすいこれらの概念を、丁寧に解説していきます。
目次
円高? 円安?
「1ドル100円 → 1ドル90円」は円高
1ドル100円だったのが1ドル90円になったら、円高でしょうか? それとも円安でしょうか?
答えは円高です。
「100円だったのが90円に安くなったんだから、円安なんじゃないの?」
そう思われるかもしれませんね。
上で取り上げたように、ガソリンの場合を考えてみます。
1ℓ100円のガソリンが、1ℓ90円になったら、ガソリンは高くなっていますか? それとも安くなっていますか?
馬鹿にするなと言われそうな問題で申し訳ないですが、答えはもちろん「安くなっている」ですよね。
それと同じで、1ドル100円だったのが1ドル90円になったら、ドルは安くなっています。
そう、安くなったのはガソリンやドルであり、円ではないのです。
ガソリンやドルが安くなったということは、それに対して円は高くなったと言うことができます。
例えば、ガソリンが1ℓ100円ならば、1000円出せばガソリンを10ℓ買えます。
でも、もしもガソリンが1ℓ90円に値下がりしたならば、1000円出せばガソリンを約11.1ℓ買えます。
1000円という金額は同じでも、ガソリンが安くなったことで、手に入るガソリンの量は増えています。
同じ金額なのに、たくさんの物を買えるようになったということは、その通貨の価値は上がったということです。
ですから、ガソリンの値段が下がることによって、同時に円の価値が上がったと考えることができるのです。
為替の場合も、ガソリンのケースをそのまま当てはめればいいです。
1ドル100円が1ドル90円に値下がりしたならば、1000円出したときに買えるドルは、10ドルから約11.1ドルに増えます。
ドルの価値が下がったということは、同時に円の価値が上がったと考えることができます。
ですから、1ドル100円が1ドル90円になったら、円安ではなく、円高なのです。
「1ドル100円 → 1ドル110円」は円安
反対に、1ドル100円だったのが1ドル110円になったら、円高でしょうか? それとも円安でしょうか?
答えは円安です。
これは、先に解説した円高のケースを、逆に考えてみればいいです。
1ドル100円だったのが1ドル110円になったのなら、ドルの価値が上がっています。
1000円出したとき、1ドル100円なら10ドル買えますが、1ドル110円だと約9.1ドルしか買えません。
同じ1000円で買えるドルが少なくなったということは、ドルが高くなったのです。
そして、ドルが高くなったということは、それに対して円は安くなったと考えることができます。
ですから、1ドル100円が1ドル110円になったのなら、円高ではなく、円安になったのです。
円高・円安が進行するとどうなる?
海外の資産を買付・売却する場合
海外の資産を買う場合
【海外の資産を買う場合】
・円高が進行すると有利!
・円安が進行すると不利!
「円高や円安になると、結局得をするの? 損をするの?」
こんな疑問を抱いたことはありませんか。
答えは、「その人のポジションによって答えは変わる」です。
もう少し突っ込んで言いますと、海外の資産を買うのか売るのかによって、有利なのか不利なのかが決まります。
海外の資産を売買するときのことを考えてみます。
資産の内容は何でもいいです。
株式、債券、不動産、貴金属…。
ここでは例として「金の延べ棒」とします。
金の延べ棒が、米国ドルで10,000ドルで売られているとします。
そして、ある時点での為替相場が1ドル110円だったとします。
この時点で金の延べ棒を買うと、金の延べ棒は10,000ドル、そして1ドルは110円ですから、
10,000ドル × 110円 = 1,100,000円
を支払うことになります。
これがもし、為替相場が1ドル110円から1ドル100円の円高になっていたら、
10,000ドル × 100円 = 1,000,000円
で買えるので、円高になった分、安く金の延べ棒を買うことができます。
反対に、もし1ドル110円から1ドル120円の円安になっていたら、
10,000ドル × 120円 = 1,200,000円
となり、円安になった分、金の延べ棒は高くなります。
つまり、海外の資産を買うときは、円高になると有利、円安になると不利なのです。
海外の資産を売る場合
【海外の資産を売る場合】
・円高が進行すると不利!
・円安が進行すると有利!
反対に、持っている金の延べ棒を売る場合を考えてみます。
金の延べ棒のドルでの価値は、買うときと同様に売るときも10,000ドルで変わらないとします。
そしてある時点での為替相場を、1ドル110円だったとします。
この時点で金の延べ棒を売ると、
10,000ドル × 110円 = 1,100,000円
を受け取れます。
これがもし、1ドル110円から1ドル100円の円高になっていたら、
10,000ドル × 100円 = 1,000,000円
と受け取れる金額は減り、損をします。
もし、1ドル110円から1ドル120円の円安になっていたら、
10,000ドル × 120円 = 1,200,000円
と受け取れる金額は増え、得をします。
つまり持っていた海外の資産を売る場合は、買う場合とは反対に、円高になると不利で、円安になると有利なのです。
実は金の延べ棒自体も相場は変動します。
しかし、例え金の延べ棒の相場が全く動かなかったとしても、為替相場が変動することによって、売買金額は変わってしまうのです(為替相場が動くことによる利益を「為替差益」、損失を「為替差損」と言います)。
なお、ここで取り上げた例では、売買手数料や税金などは考慮していません。
輸入産業・輸出産業の場合
【輸入産業の場合】
・円高はプラス材料!
・円安はマイナス材料!
【輸出産業の場合】
・円高はマイナス材料!
・円安はプラス材料!
では、個人単位ではなく企業単位で考えると、どうなるでしょうか?
企業単位で考える場合も、個人単位で考える場合と同様、為替相場の影響を受け、ポジションによって有利・不利は違います。
輸入産業の場合は、円高は国内で輸入品が安くなるのでプラス材料に、円安は国内で輸入品が高くなるのでマイナス材料になります。
輸出産業の場合は、円高は海外で輸出品が高くなるのでマイナス材料に、円安は海外で輸出品が安くなるのでプラス材料になります。
まとめ
【円高・円安】
・1ドル100円が1ドル90円になったら円高。
・1ドル100円が1ドル110円になったら円安。
【海外の資産を買う場合】
・円高が進行すると有利。
・円安が進行すると不利。
【海外の資産を売る場合】
・円高が進行すると不利。
・円安が進行すると有利。
【輸入産業の場合】
・円高はプラス材料。
・円安はマイナス材料。
【輸出産業の場合】
・円高はマイナス材料。
・円安はプラス材料。
いかがだったでしょうか。
グローバルに展開する企業は多く、また個人でも海外製品を輸入したり、海外の資産に投資をする時代です。
円高・円安といった、為替に関する基本的な概念はきっちりと押さえておきたいですね。