こんにちは、あんにゅいです。
保険商品には、保険事故が発生した際に私たちに支払われる保険金と、私たちが支払う保険料が設定されています。
この保険料は、何の理由も無くいい加減に設定されているのではなく、ちゃんとした根拠があって決まっています。
この記事では、損害保険の保険料を算出する際の原則をご紹介します。
収支相等の原則
保険会社にとっての収入と支出が等しくなるように保険料を算出するという原則
収支相等の原則は、保険会社が顧客から受け取った保険料(収入)と、顧客に支払う保険金(支出)の総額を、等しくするという原則です。
例えばある保険会社の取り扱う損害保険について、当初の想定以上に保険金の支払いが続くと、収支相等の原則が保てなくなります。
そのため保険会社は、この保険の保険料を引き上げます。
そうすることによって、支払った保険金と受け取った保険料の総額のバランスを図ることができるのです。
公平の原則(給付・反対給付均等の原則)
保険契約者が支払う保険料と、保険事故の発生時に支払われる保険金の、数学的期待値は等しいという原則
公平の原則は、保険事故の発生確率が高いほど加入者が支払う保険料が高くなり、反対に保険事故の発生確率が低いほど加入者が支払う保険料が安くなるという性質を持つ原則です。
加入者が支払う保険料は、損害の発生率や危険度に応じた額でなければならない、とされます。
例えば火災保険の保険料は、コンクリート造りの建物の方が、木造住宅よりも保険料が低く設定されています。
これは、コンクリート造りの建物の方が、木造住宅よりも燃えにくく、保険事故が発生する確率が低いからです。
それなのに、もしも建物の耐火性能にかかわらず保険料を一律にしてしまったら、加入者にとって公平とは言えません。
ですから公平の原則に基づいて、建物の耐火性能によって、保険料は高く設定されたり、安く設定されたりしています。
大数の法則
個々の事故は偶発的であっても、繰り返し大量に観察すると一定の法則を見出すことができる、という法則
大数の法則は「たいすうのほうそく」と読みます。
損害保険では、大数の法則を作用させ、過去のデータから損害率を求めて保険料を算定します。
保険会社は、新しい保険商品の開発に際し、過去の多くの事例を蓄積し、損害の発生頻度や規模を想定して、保険料を設定します。
「過去の多くの事例」という目安があるからこそ、保険金に対する保険料を、大まかであっても算定することができます。
もしも過去の事例が乏しく、事故の発生頻度を予測することができない場合、保険商品の開発を断念することにもつながります。
利得禁止の原則
保険で得をしてはならないという原則
損害保険では、保険事故が発生した際に、過大な保険金を得る行為は禁止されています。
家の価値が2,000万円なのに、保険金額が3,000万円の火災保険を契約することはできないのです。
損害保険では、原則として保険金額の範囲内で、保険価額(物の価値)を上限とした実損額が、実際に保険金として支払われます。
もしも家の価値が2,000万円で、保険金額が3,000万円の火災保険の契約があったとしても(超過保険と言います)、実際に支払われる保険金額は、家の価値の2,000万円が上限となり、2,000万円を超える部分については保険金を受け取れません。
以上、ご紹介した原則や法則に基づいて、損害保険の保険料は算出されています。
保険料が高く感じられる保険商品もあれば、安く感じられる保険商品もありますが、このように、保険料はちゃんとした理由があって決められているのです。
生命保険の保険料については、下記の記事にまとめております。よろしければご覧ください。
↓
【純保険料と付加保険料】生命保険の保険料の構成と、その算定方法