事業専従者控除を控除できるのは何所得? 要件や計算方法は?

こんにちは、あんにゅいです。

 

白色申告には、事業専従者控除というものがあります。

事業専従者とは、白色申告者と生計を一にする配偶者や15歳以上(その年の12月31日時点)の親族で、白色申告者の営む事業に従事する人を指します。

白色申告者がこの事業専従者に給与を支払った場合、ある算式で求めた金額を、白色申告者の所得金額の計算上、事業専従者控除として控除できます。

 

この記事では、事業専従者控除を適用する要件や、事業専従者控除の金額の計算方法をご紹介します。

 

事業専従者控除の要件

 

事業専従者控除

【控除対象の所得】
不動産所得
事業所得
山林所得

 

【事業規模】
不動産所得・山林所得については、事業的規模であることが要件。

 

【届出について】
事前の届出は不要。
ただし、確定申告書に適用を受ける旨の記載がある場合に限り適用する(所得税法第57条第3項、第5項)。

 

【従事期間】
年間6ヶ月を超えて従事すること。

 

 

 

 

あんにゅい
事業を営む人が、同一生計の親族に支払った給与は、原則として必要経費には算入できません(所得税法第56条)。ただし、この事業専従者控除の分は、必要経費に算入するべき金額とみなされ、事業を営む人の所得を引き下げてくれます。

 

 

事業専従者控除の計算方法

 

計算式

 

事業専従者控除の計算式

次の①と②のいずれか小さい方が事業専従者控除の金額。

 

①配偶者である親族:86万円
 その他の親族:50万円

②(事業所得 + 不動産所得 + 山林所得) ÷ (事業専従者の数 + 1)

 

 

 

 

あんにゅい
上記①②の内、金額の小さい方が事業専従者控除として控除できる金額です。下で計算例を見てみましょう。

 

 

計算例

 

事業専従者控除の計算例

〇事業所得の金額(事業専従者控除前の金額)
 ・収入金額:380万円
 ・必要経費:210万円

※この事業主は妻と同居しており、妻は事業専従者控除が適用される。
※この事業主の妻以外には事業専従者はいない。

 

 

 

上記の条件で事業専従者控除の金額を計算してみましょう。

 

まず事業専従者控除を控除する前の事業所得を求めます。

収入金額が380万円で必要経費が210万ですから、

 

380万円 – 210万円 = 170万円

 

となり、170万円が事業専従者控除を控除する前の事業所得です。

 

続いて前項の

②(事業所得 + 不動産所得 + 山林所得) ÷ (事業専従者の数 + 1)

を求めます。

 

この式に数字を当てはめると、

 

(170万円 + 0円 + 0円) ÷ (1 + 1) = 85万円

 

となり、85万円が求められました。

「事業専従者の数」は妻のみですので、1人です。

 

 

この85万円と、

①86万円(配偶者である親族)

を比較して、小さい方が事業専従者控除の金額です。

 

85万円と86万円を比較すると、小さいのは言うまでもなく85万円ですから、事業専従者控除の金額は85万円が正解です。

 

 

あんにゅい
事業専従者控除を控除した後の事業所得は、控除前の170万円から事業専従者控除85万円を控除した、85万になりますよ。所得が少なくなったので、その分だけ所得税は安くなります。

 

以上、事業専従者控除についてご説明しました。