こんにちは、あんにゅいです。
当ブログでは時折「精神科デイケア」という単語が登場します。
私は統合失調症という精神疾患を抱えており、その精神科デイケアに通っています。
「精神科デイケアって何?」という方のために、私が通所している精神科デイケアを例として、スタッフ側の視点ではなく利用者側の視点で、精神科デイケアについてできるだけわかりやすく解説していきます。
なお、この記事は厚生労働省のホームページを参考にして書かれています。
【参考資料】精神科デイ・ケア等について – 厚生労働省
目次
精神科デイケアへ行くことに躊躇している方へ
はじめに、「精神科デイケアに興味はあるけれど、億劫・怖いなどといった理由で、行くことに躊躇している」という方に向けて書かせていただきます。
私も通所する前は、精神科デイケアへ行くことに対して面倒くさい・人づきあいが怖いという負の感情を抱いていました。
しかし今では通所することに抵抗が無くなり、思い切って最初の一歩を踏み出して良かった、と思っています。
人によって病状や置かれている状況は様々だと思います。
ですから、私のような一患者の立場で無責任な発言はとてもできません。
しかし、それでも敢えて、僭越ながら、一つだけ申し上げます。
もしもあなたが、「話し相手や友だちを作りたいけれど、対人関係が苦手」ですとか、「毎日手持ち無沙汰で、何かしたいとは思っているけれど、そのきっかけが無い」というような悩みを抱えているのならば、精神科デイケアに通うことが解決の糸口となる可能性があります。
これ以上のことを、私ごときの立ち位置から申し上げることは差し出がましく、してはならないことだと思いますので、控えさせていただきます。
次項からは、精神科デイケアについて具体的に説明をしていきます。
精神科デイケアとは
精神科デイケアとは、精神科でのリハビリテーションをする場所のことです。
作業や運動をしたり、レクレーションに参加したり、食事の配膳や片づけ、掃除洗濯をしたりすることなどが、私が通っている精神科デイケアでの主な活動内容です。
上記のような活動をすることで、投薬だけでは不可能な、社会復帰を見据えた治療が可能になるとされているようです。
精神疾患を抱えていて、その程度は入院するほどではないけれど、健康な人と比較すると社会生活を送るのが困難だという人たちが主な利用者として集まっています。
精神科のある病院に併設されていることが多いらしく、私が通っている病院では1階が精神科外来、2階が精神科デイケアとなっています。
私は普段は外来には用は無いため1階はスルーして2階まで階段を上って行っています。
精神科デイケアの人員基準
精神科デイケアには様々なスタッフがいます。
人員基準といいまして、精神科医師だけではなく、作業療法士、看護師、臨床心理技術者、精神保健福祉士などの専門家が従事することが定められているようです。
私は利用者として、精神科デイケアには何年も在籍しています。
しかしその長い在籍期間があるのにも関わらず、スタッフの顔を見ても、精神科医師以外は誰がどの専門家なのかは全くわかりません。
各専門家になるには厳しい資格試験をパスしなければならないと想像しますが、ありていに言えば利用者の立場からすると誰が何の資格を持っているかよりも、そのスタッフの人柄の方が遥かに大切です。
好き嫌いで人を区別するわけではないですが、人間誰にでも人との相性の良し悪しはありますよね。
精神科デイケアの利用対象者
精神科デイケアの利用者は精神疾患を持つ人たちです。
ではどのような患者がいるのでしょうか。
それは、統合失調症、うつ病、アルコール依存症、双極性障害、不安障害、発達障害、強迫性障害、摂食障害、薬物依存、などと多岐にわたります。
そして年齢面では、下は高校生くらいに見える人から、上は還暦を過ぎているように見える人まで、その幅はとても広いです。
ノートとドリルを広げて漢字練習をしている人もいるので、少なくとも学生さんも在籍していることは間違いなさそうです。
しかし、年齢は見た目で大体わかるのでさておき、誰がどの精神疾患を抱えているのかは、私は全く知りません。患者同士でそういった話もしません。
精神疾患については、スタッフだけが知りえる情報なのでしょうね。
精神科デイケアのプログラム構成・作業療法
精神科デイケアでは、病気の治療をすることを土台として、趣味や教養、運動、軽作業などのプログラムを行います。
具体的には、調理実習、手芸、園芸、工芸、陶芸、書道、茶道、華道、合唱、卓上ゲーム、散歩、体操、卓球、バドミントン、ソフトバレー、農作業、洗車、併設されている特別養護老人ホームのお手伝い、などと、バラエティに富んでいます。
この中でも人気が高いのは、調理実習や卓上ゲーム、球技や農作業でしょうか。
これらのプログラム内容を総称して作業療法(OT : Occupational Therapy)といいます。
作業療法とは、身体または精神の障害を持つ人に作業を行わせることで、社会的適応能力等の回復を図ることを目的としたものです。
作業をできるようにすることで、患者に健康状態と幸福感の改善がもたらされる、とされています。
私が通所している精神科デイケアでは日替わりで様々なプログラムが構成されるので、あらかじめ実施スケジュールを確認しておいて、自分が参加したいものがあるときだけ来所するということも可能です。
さらに季節によってその時期ならではのイベントが開催されたりします。
例えば春はお花見、夏は七夕、秋は運動会、冬はクリスマスや初詣、といった具合です。
このイベントを狙って来所する人もいれば、逆にイベント時は患者が多く混雑するので来所は控える、という人もいるようです。
また、体調が悪いときやそっとしておいてほしいときなどに、プログラムには参加せずに一人で本を読んでいたり休憩室で横になったりしていても全然問題はありません。
これは患者にとっては実にありがたい配慮だと思います。
精神科デイケアでの禁止事項
私が通所している精神科デイケアでは、いくつかの禁止事項があります。それは下記のようなものです。
- 電話番号、メールアドレス等の交換の禁止
- Facebook、Twitter、LINE、Instagram等のSNSでのお付き合いの禁止
- 精神科デイケア外で会うことの禁止
- 男女交際の禁止
- 患者同士で病気に関する話をすることの禁止
これらを禁止する理由は、治療の妨げになり、個人情報流出の危険があるから、といったことのようです。また、トラブルが発生することも懸念していると思います。
禁止事項を破ってしまうと、精神科デイケア出入り禁止という厳しいペナルティが課せられることになります。
私見を述べさせていただきますと、精神科デイケア内で誰かと親しくなった場合、その人と外部でもお付き合いしたいというケースもあろうかと思いますので、この禁止事項はやや厳しいかなという気がします。
しかしながら、患者の中には精神科デイケアに行くことを怖いと思っている人もいるはずなので、万人にとって安心できる場所を提供してもらうという観点で言えば、このルールも納得できないことはありません。
規則は規則なのですから、私が利用者という立場である以上は、これに従わなくてはいけないな、と思っています。
精神科デイケアの効果やメリット
精神科デイケアに通うことには、様々な効果やメリットがあるとされています。
ここからはあくまでも私の場合は、という話になりますが、私が精神科デイケアにどのような価値を見出しているかをご紹介していきます。
生活リズムを保てる
無職の身で毎日をただ漫然と過ごしていると生活リズムは乱れがちです。
食べたいときに食べ、眠たいときに眠る、といった生活スタイルになってしまい、気が付いたら昼夜が逆転していた、というのもよくある話です。
身だしなみにも無頓着になり、汚い話で恐縮ですが2日3日お風呂に入らなくても平気、といった状態に陥ることもあります。
精神科デイケアに通所することで、それは改善することができます。
決まった時間に起床をし、決まった時間に食事をし、決まった時間に就寝をするようになっていきます。
そして集団の場に入るわけですから、嫌でも身体の清潔と身だしなみには気を遣うようになります。
周りはみんなちゃんとしているのに、自分だけだらしない格好をしているわけにはいきませんよね。
身だしなみをきちんとすることで、自信を持つことができるようになり、堂々と振舞えるようになるものです。
規則正しい生活を送ることは、身体の健康だけではなく心の健康にも良いと私は思います。
人間関係構築の訓練ができる
私はかなりのコミュ障(コミュニケーション障害)です。
人と話をすることに自信がありません。
会話が途切れたらどうしよう、話がつまらないと思われたらどうしよう、などと考えてしまい、たまらなく不安になります。
あまつさえ、会話をしたがゆえに嫌われてしまった、という事態を招くことに恐怖を覚えてしまいます。そしてその恐怖が私を消極的にさせます。
しかし、精神科デイケアのスタッフはそんな私にも親切にそして好意的に接してくれます。
さらに、このような物言いは失礼なのですが、周りの利用者も私と同様に人間関係を築くのが得意ではなさそうな雰囲気の人が多いので、その点でも気が楽です。
こうした環境は、人とコミュニケーションを取りながら人間関係を作っていくという訓練の場として打ってつけです。
恐怖を克服しようという気にさせてくれます。
私は八方美人ではないので相手は選んでしまいますが、話しかけられるのをただ待つだけではなく、自分からもなるべく色々な人に話しかけるように心がけています。
魚心あれば水心、とはよく言ったもので、自分から好意的に接すれば高い確率で相手もそれに応じてくれます。
よしんばにべもない態度を取られても、相手も病人なのだし体調が悪いのかもしれないな、と解釈すれば精神的ダメージは小さく済みます。
こちらの笑顔に対し相手も笑顔で返してくれると、私にとってそれはこの上ない喜びとなります。
体力づくりになる
特にすることも無い日々を送っていると、1日の運動量は大変少なくなります。
そのような状況では自然と体力も衰えていきます。
30分間家事をしただけで疲れてくたくたになってしまう、などという笑い話にもならない情けない有り様にもなりえます。
これも精神科デイケアに通うことで改善されます。
精神科デイケアには軽作業や散歩、体操やスポーツといったプログラムがありますので、これらに参加することで運動量は格段に増えます。
仮にそれらのプログラムに参加しなくても、精神科デイケアに通うという行為自体がそもそも運動であり、体力づくりになっています。
通い始めの頃はすぐに疲れてしまうということにもなりますが、慣れてくると段々と疲れにくくなっていき、体力がついてきたということが実感できるかと思います。
心の安定につながる
私は怠け者気質で、自身のことを「仕事ができない人間」だと思っています。
そして相当な寂しがり屋です。
「誰かと話をしたい」、「自分の考えていることを聞いてほしい」、「相手の考えていることを聞かせてほしい」というように、人と親しく接することを切望しています。
精神科デイケアに通所することで、その望みは叶います。
与えられた仕事(作業)をやり遂げる。
お茶を飲みながらスタッフや患者と歓談する。
「こんな怠け者な自分でも仕事をすることができた」、「コミュ障な自分だけど人と楽しく会話をすることができた」などといった体験は、得も言われぬ幸福感と安心感を私に与えてくれます。
湧き上がってくるそれらの感情を私は大切にしています。
そして、それらが私の心を安定させてくれるのです。
社会復帰への希望を持てる
ここまでに挙げました、
- 生活リズムを保てる
- 人間関係構築の訓練ができる
- 体力づくりになる
- 心の安定につながる
というのは、全て社会復帰への希望を持たせてくれる要素です。
「私なんかどうせ」という考え方は矯正されていき、「こんな私でももしかしたらできるかもしれない」という期待に徐々にシフトしていきます。
家で1人で過ごしていても前向きな考えにはなかなか至らないものです。
それくらいなら勇気を出して精神科デイケアに通所し、人と人との中でインスパイアされていった方が合理性がある、と私は考えています。
以上が精神科デイケアに通所することの、私にとっての効果とメリットです。
体調が悪いなどの理由で「行きたくない」という日もありますが、私にとってはメリットの方が大きいのでなるべく通所するようにしています。
長くなってしまいましたがこれで精神科デイケアの説明は終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
あなたにとって、この記事が有益な情報となりましたら、筆者としてはとても嬉しく思います。