【京丹後グルメ紀行】幻のズワイガニ、間人(たいざ)ガニと対座

京丹後グルメ紀行 幻のズワイガニ、間人ガニ

こんにちは、あんにゅいです。

2019年11月6日、巷の食通をうならせる幻のズワイガニ、間人(たいざ)ガニの漁が解禁されました。

カニが好きすぎてカニを食べている最中でさえも「ああ、カニが食べたい」と妄想を膨らませてしまう私は、この間人ガニを味わうために清水の舞台から飛び降りるつもりで京丹後地方に行って参りました。

日にちは間人ガニが一般提供される初日の2019年11月7日から一泊、お世話になった旅館は昭恋館よ志のやさんです。

 

間人ガニとは

 

間人(たいざ)は京都府京丹後市丹後町の地名です。

そしてこの間人港で水揚げされる松葉ガニ(山陰地方で獲れるズワイガニ)を、特に間人ガニと呼びます。

要するに間人ガニとは、水揚げされる地域の名を冠したブランド名です。

間人港のカニ漁の船はわずか5隻しかなく、また鮮度を保つために日帰り漁を基本としています。

そのために間人ガニは希少性が非常に高く、高級カニとしての名声をほしいままにしています。

漁獲量が少ないことが、間人ガニが「幻のズワイガニ」と呼ばれる所以です。

 

昭恋館よ志のや

 

京都丹後鉄道宮津線の網野駅で降りた私は、駅を出たところで「昭恋館よ志のや」と書かれたプレートを掲げた男性を見つけました。

駅から旅館までの送迎を予約していたので、きっとこの男性が旅館の方に違いないと近づいていくと、男性の方から「〇〇様ですか?」と声をかけてきます。

「はい、お世話になります」と男性と軽く挨拶を交わし、早速旅館のマイクロバスに乗り込みます。

車中で、コミュ障ながら「のどかな所なんですね~」と男性に声をかけると、気さくに会話に応じてもらえたので、嬉しくなった私は旅館までの約20分間、男性とお喋りを楽しみました。

私、会話のキャッチボールを投げ返してもらえると、ついつい夢中になって歓談してしまうんです。

やかましくてごめんなさい。

 

間人港でカニの競り

 

旅館に到着した私は、一息ついた後、徒歩で間人港に向かいました。

お目当ては間人ガニの競りです。

先程車中で旅館の方と話をしている際、「友人宅へのお土産に間人ガニを買おうと考えています」と伝えたら、間人港での競りで旅館の方に仲買(なかがい)をしてもらえると聞きやって来ました。

一般人は競りには参加できないので、競りで買いたいものがある場合は、関係者に仲買をお願いすることによって、一般人も競りの品を手に入れることができるのです。

あらかじめ聞いていたよ志のやさんのスタッフの特徴にマッチしている方を見つけたので、「こんにちは」と声をかけて早速仲買の依頼をしてみます。

するとそのスタッフさんは「ええ、いいですよ」と応じてくれたものの、どこか言いにくそうに「ご予算はどのくらいです?」と訊いてきます。

おそらくですが、私が間人ガニの相場を知らない客だったらやりにくいなあ、そんな風に考えているように感じられました。

大丈夫です、間人ガニが1000円とかで買えるなんて思っちゃいませんよ。

相場にちょっと色をつけた値段に、2軒分なので2をかけて、予算をスタッフさんに伝えました。

「これでそこそこのカニを買えるといいなと思うんですけど」

遠慮がちに私がそう言うと、スタッフさんは自信の笑みで「余裕ですよ! 良さそうなところ持って来ますね!」と返してくれました。

どうやら友人宅へのお土産は、このスタッフさんに安心して任せていいようです。

 

 

間人ガニと対座

 

旅館のお風呂に入り、のんびりとしていたら、夕食の時間になりました。

お腹もぺこぺこ、いよいよ間人ガニとのご対面です。

夕食は間人ガニのフルコースで、約2時間、旅館のお姉さん(?)が付いてお世話をしてくれました。

お姉さんに「お話はしても大丈夫ですか?」と訊かれたので「ええ、会話は大好きですよ」と答えます。

一人客にたまにいるそうなのですが、下手に話しかけると怒りだす客もいるそうなので、慎重になってしまうんですって。

へえ、そういう客もいるんですね。

お姉さんと会話を楽しみながら、お酒をいただきつつ間人ガニに舌鼓を打ちます。

これが間人ガニの食感なんですね。

同じズワイガニということで、昨年福井県東尋坊で食べた越前ガニとついつい比べてしまいます。

越前ガニの茹で身は加熱してあるとは思えないくらいとろけるような食感でした。

対してこの間人ガニの茹で身は、越前ガニのそれとは違い、つるつると言うか、ぷるぷるとした食感です。

間人ガニの方が締まっているようです。

これが間人ガニと越前ガニの違いなのか、たまたまなのか、はたまた火の通り方が違うだけなのか。

私にはわかりませんが、ひとつ言えるのはどちらも甲乙がつけられないくらい美味しかったということです。

最後のお料理、かにすきをいただいた後、残り汁での雑炊をかき込み、お腹ははち切れんばかりに膨らみました。

最高の料理だけで食欲が満たされ、これ以上の幸せはないだろうと思えたのですから、天罰が下っても決して文句は言えません。

 

 

自虐的な夜

食事が終わりひと時休憩した後、私は酔い覚ましのために自販機で冷たいお茶を買い、一階の誰もいないロビーのソファーに腰かけました。

ずっと前から「いつか行ってみたい」と来ることを待ち望んでいた間人の町。

そしてカニ好きなら一度は食べてみたいと思うであろう幻のズワイガニ。

とうとう、念願を叶えちゃったな。

まったく、無職のくせにいいご身分だよ。

今回の一泊二日旅行の予算は、お土産代を含めて20万円でちょっと足が出るくらい。

たかがカニを食べるためだけにその金額を出したと、聞く人が聞けば絶対に怒るでしょう。

私は何様でもなく、ただの精神疾患持ちの無職だよ。

くそ、悪いことは何一つしていないはずなのに、なんでこんなに罪悪感があるんだろう。

外は深淵の闇、どこか頼りない照明の下、やけに静寂が耳に障るロビーのソファーで、うすぼんやりとペットボトルのお茶を口に運びながら、一人で静かに自虐的な気分に身を任せました。

 

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