【パチンコ思い出話】その12. ドンキホーテ ~自動的に、両替機へ~

こんにちは、あんにゅいです。

大当たり時の出玉数に、振り分けのあるタイプの機種が存在します。

良い方に振り分けられれば大量出玉、悪い方だったらほとんど出玉無し、というタイプです。

不運な方に傾いてしまうと、打てども打てども出玉は得られず、当たっているのに大負けという状況にもなり得ます。

私がパチンコデビューした当時に出会った振り分けのあるパチンコ、『ドンキホーテ』とのエピソードを綴ります。

 

(C)豊丸産業

 

ドンキホーテとは

ドンキホーテ(豊丸産業)は1995年に登場した3回権利物のパチンコです。

3回権利なのにも関わらず、初当たり確率は1/155という破格の高確率でした。

理由は大当たり権利発生の度に出玉の振り分けがあったからです。

メインデジタル下のミニデジタルに、「16」が表示されれば16ラウンド、「2」が表示されれば2ラウンドと、わかりやすく告知されました。

16ラウンドならフルカウントでの出玉を得られるため、3回全て16ラウンドだった場合は6000発強の出玉が獲得できるという、夢のあるスペックでした。

そして特筆すべきは、3回権利の内1度でも16ラウンドが出現すると、残りの権利も全て16ラウンドになるという特徴があったことです。

そのため初当たり時に16ラウンドが出現すると、3回全てが16ラウンド確定となるため、大当たり時のラウンド数告知演出には手に汗握る興奮がありました。

 

オール2ラウンドが多い!

では、この1度16ラウンドが出現すると残りも全て16ラウンドになるという仕組みは、どのように実現しているのでしょうか。

それは、初当たり時に振り分けによってシナリオをあらかじめ決めてしまうことによって実現しています。

ですので大当たりの度に16ラウンドなのか2ラウンドなのかを決めているわけではありません。

1回目の大当たりの時点で、3回目までの振り分けが既に決まっているのです。

そのシナリオと振り分け率は下記の通りでした。

 

  • 16R、16R、16R … 1/8
  • 2R、16R、16R … 2/8
  • 2R、2R、16R … 2/8
  • 2R、2R、2R … 3/8

 

全シナリオと振り分け率から計算すると、初当たり1回(大当たり3回)につき期待できる出玉数は、2300発~2500発程度でした。

そしてドンキホーテの初当たり確率は1/155。

出玉数と初当たり確率だけを見ると、これは当時の人気機種ナナシーと同水準です。

初当たり確率1/155でありながら3回の権利がありますが、期待出玉がその確率に合わせたものだったので、別段甘いというわけでもありませんでした。

さらに残念なことに、オール2ラウンドの振り分けが3/8(37.5%)とべらぼうに高いです。

「3回もチャンスがあるのだから、3回とも2ラウンドなんてことにはそうそうならないだろう」なんてタカをくくっていると、想像以上に多いオール2ラウンドに絶句することになるでしょう。

 

It’s automatic♪

沸点の低い私は、怒り心頭に発する心境でした。

行きつけのホールでドンキホーテと対戦していたのですが、当たりを引けども引けども2ラウンドばかり。

2ラウンドによる出玉など雀の涙で、確変中と言えども次の大当たりまで持ちはしません。

こちとら現金投資中で、資金に余裕もありません。

ですから1000円2000円の単位で少しずつ500円玉に両替して打っていました。

そんな事情なものですから、今確変中なのに2ラウンド分の出玉が尽き、両替機への往復を余儀なくされるという世にも情けない事態です。

1000円札を挿入すると、申し訳程度に「カラン」と音を立てて500円玉を2枚吐き出す両替機。

500円玉を2枚握りしめ、ドンキホーテに戻ってきた私は、「次こそ16ラウンドで頼むぞお」とハンドルを持ちます。

そしてやってきた3回目の大当たり。

ミニデジタルを凝視するものの…表示されたのは、やっぱりな、の「2」。

ああ、もうダメだ。

今日はダメだ。

ぶん投げた。

これで確変は終わりだし、この2ラウンド分の出玉を打ち込んだら帰ろう。

そう思って、捨てるつもりで投げやりに玉を打ち込みました。

するとこの天邪鬼なドンキホーテは、通常確率中なのにもかかわらず、その2ラウンド分の出玉でなぜか大当たりしました。

ミニデジタルに表示されたのは、当たり前だと言わんばかりに「2」。

そしてその2ラウンドで得た出玉は、飲まれてしまいました。

手元に持ち玉はありません。

台は今確変中で、2回の権利が残っています。

500円玉は1枚もありません。

つまり、財布の中のお札を両替機に入れるしかありません。

私は、ため息をつきながら、自分の意志ではなく、自動的に、両替機に向かいました。

店内にかかっているBGM、当時の流行の最先端だった宇多田ヒカルの『Automatic』がサビの部分に入りました。

 

イッツ、オートマチック♪

 

それは、今の私の状態を歌っているように聞こえました。

 

 

【パチンコ思い出話】シリーズの記事は下記の通りです。