【パチンコ思い出話】その6. ナナシー ~パチンカーとしての箔~

こんにちは、あんにゅいです。

田山幸憲というパチプロがいたのをご存知でしょうか。

田山さんはパチンコ必勝ガイドでパチプロ日記を掲載し、『田山幸憲パチプロ日記』などの著書で有名です。

パチプロとしては珍しく、ガツガツとしておらず、また理論派というよりはどちらかというとオカルトよりの考え方を好むスタイルでした。

そのパチンコに対する向き合い方、しみじみとした味わいのある独特の描写が、私はたまらなく好きで、田山さんの連載を心待ちにしていたものです。

田山さんが晩年好んで打っていた『ナナシー』とのエピソードを綴ります。

 

(C)豊丸産業

 

ナナシーとは

ナナシー(豊丸産業)は、1996年に登場した一般電役です。

大当たり確率1/158で、出玉は釘調整にもよりますが2500発ほどを見込むことができました。

デジタルは上段出目と下段出目に分かれており、上段がゾロ目となればリーチ、リーチの状態で下段がゾロ目となれば大当たりでした。

大当たりに近づくほどリーチBGMが甲高くなっていくアクションが、打ち手の心を熱く煽りました。

 

田山幸憲プロの名言

冒頭で触れた田山さんは、著書の中で数多くの名言を遺しています。

また難解な言い回しも著書の中によく登場し、「あにはからんや」「忸怩たる思い」などは、私は田山さんの著書で生まれて初めて触れ、田山さんが使っているのを見て覚えました。

田山さん独特の表現で、有名なところでは「ケも無し」「めくるめく777」などがありますね。

特に、田山さんが好んで打っていたナナシーで大当たり消化中に大当たりしたときの、「デキた!」「してやったり!」「ダブル!」などが、私は大のお気に入りでした。

私がホールでナナシーの実戦中に、心の中で「デキた!」などと叫び田山さんごっこをしていたのも今となっては良い思い出です。

 

箔が付いた

その日、私は苦戦していました。

当たるには当たるのですが、いかんせん大当たりが重く、出たり入ったりを繰り返していました。

体感的には、今日の大当たり確率は1/250程度でしょうか。

ナナシーの大当たり確率は1/158ですから、結構な不運に見舞われていることになります。

それでも、その内に展開が変わるかもしれない、帳尻合わせのように大当たりラッシュが来るかもしれない、と希望を捨てずに打ち続けていました。

しかし、大当たりラッシュどころか台の機嫌はますます悪くなり、当たる気配が無くなってきてしまいました。

頭上のデータカウンタは400を超え、500を超え、600を超えます。

あーあ、これは今日はもうダメだな。

そう考えながらデータカウンタを見ていたのですが、ここで田山さん風に言うと画面に殺気を感じ、目をやると全回転リーチ。

その全回転リーチを眺めながら、良かったやっと当たった、と安堵していたのですが、それもつかの間でした。

全回転が止まり、上段図柄と下段図柄がそれぞれ揃った…と思った瞬間、下段の右図柄だけもう1コマ回転し、揃っていたのがズレてしまいました。

そう、世にも珍しい全回転リーチハズレです。

実は当時の規約では、全回転リーチでのハズレが義務付けられていたため、信頼度を100%にすることができずに、まれに外れることがあったのです。

これですっかりやる気をなくした私は、今日のところは潔く退店することを決意しました。

そして、「珍しいもん見れたし、まあいいか。これでパチンカーとしての箔も付いたな」と考えながら、ホールを後にしたのでした。

こんなとき田山さんなら、どんな風に表現したのかな、とも思います。

 

 

【パチンコ思い出話】シリーズの記事は下記の通りです。